
「精神科に行くと、すぐに薬を出されるのでは?」
そんな不安から、受診をためらってしまう方も多いのではないでしょうか。
お薬をできるだけ使いたくない、というお気持ちは、とても自然で大切な感覚だと私たちは考えています。
実際に、当院にも「薬なしでできるだけ治したい」「まずは話を聞いてほしい」といったご相談が多く寄せられています。
私たちは、そのお気持ちを大切にしながら診療を進めています。
なぜ薬を使いたくないのか
- 依存が心配
- 副作用が怖い
- 妊娠・授乳中である
- 仕事や勉強に影響が出そう
- できるだけ自然な方法で治したい
私の外来に来てくれた方にはこうした理由を挙げられる方が多くいらっしゃいました。ひとつひとつにそう思うことになった理由、背景があってのことだと思います。無理に薬をすすめることはありません。
薬を使わずにできること
生活リズムの調整
「眠れない」「疲れが取れない」「気持ちが不安定」といった不調は、睡眠や食事、運動などの生活習慣と深く関わっています。まずは日々の生活を一緒に振り返り、無理のない改善をサポートします。
カウンセリング・心理療法
臨床心理士とのカウンセリングでは、自分の気持ちや考え方の傾向を整理し、ストレスへの向き合い方を見つけていきます。認知行動療法(CBT)やマインドフルネスといった方法も、症状によって取り入れることが可能です。
環境や人間関係の調整支援
学校や職場、家庭などの環境が大きなストレス要因になっていることもあります。必要に応じて診断書やサポート体制のご提案なども行い、今の状況に合った支援を一緒に考えます。
経過を見守るという選択
症状が軽度であったり、ご本人が「まずは様子を見たい」と思っておられる場合は、経過を見守るという選択肢もあります。お話を丁寧にうかがい、いま必要なことを一緒に考えていきます。
どうしても薬が必要なときもあるからこそ
中には、気持ちの不調や眠れなさの背景に、脳や体のバランスの乱れが関わっていて
「少しだけお薬の力を借りた方が楽になる」場合もあります。
そんなときも、私たちはしっかりご説明し、ご本人のご希望に沿って少量から慎重に考えていきます。
「今は使わない」「もう少し考えたい」といったお声にも、きちんと耳を傾けます。
当院の方針
- 薬は「選択肢の一つ」であり、無理にすすめることはありません
- ご本人の希望を丁寧にうかがい、治療方針を一緒に決めていきます
- ご相談だけで終わっても構いません。「話すだけ」で気持ちが軽くなることもあります
- 「説明のないまま薬だけ出された」と感じることがないよう、納得のいく説明を心がけています
最後に
お薬を使わないという選択も、あなたの大切な自己決定です。
私たちはその気持ちに寄り添い、安心してご相談いただける場所でありたいと願っています。
「まずは相談してみたい」
そのお気持ちを、どうぞ大切にしてください。